publicとpolicyとpowerと

技術と政治について書いていきます

追い風が吹く公共領域を結実させる存在に

 昨日はミクロな視点から「追い風が吹く公共領域」という内容を書きました。もう少しマクロ視点に立って今後2~3年でどういう流れが起きるのか、その中で自社あるいは自社プロダクトがどういう立ち位置を担っていきたいのか、について書いていきます。
 
公共への回帰が起こっている
 まず「公共」に関わるプレイヤーが増えています。立ち位置は行政や政治といった従来の公共だけではなく、むしろ、NPOや民間企業から公共に関わる形です。これは多くの要因がありますが物理的な生活環境の充足は概ね社会的に達成されており、その中で、2011年の東日本大震災、その後生じる大規模災害の連続(熊本大地震西日本豪雨など)、2020年の東京五輪後に高まる社会不安(高齢化の加速化、人口減少の加速化、経済成長の鈍化、公共財政の悪化)が起こったことで、「公共」をどうしていくのか、自分たちには何ができるのか、何かしたいという蓄積が起こっていることが主要因だと捉えています。またフローレンスなどのNPO団体からの発信量の増加、見える化の促進(主にはSNS)、民泊規制といった政治とビジネスの接点にまつわる社会的注目があったことも背景にはあります。
 
 結果、元々進んでいた官民連携の動きと合わせて柔軟な従来の公共プレイヤーの増加が増加しています。また、民間企業、特にベンチャー/スタートアップ企業の動きとして、自社の存在意義を「公共」との接点に求めるケースが少しずつ増えていると感じます。これはベンチャー/スタートアップが増えて、起業するということが少しずつ一般化・当たり前になる中で、上記の社会的背景もあって、その結果どんな社会インパクトを与えるのか、を自らに問いながら、上場や売上規模、人数というわかりやすい指標だけではなく、それって本当に意味あるのか?社会的にどんな意義があるのか?を追求したいという流れが少しずつできている、ということです。それは先に書いた通り、存在意義に直結し、かつ、なぜその企業で働くのか、というスタッフの採用やリテンションにも直結する話だと捉えています。企業は「資本市場」「財/サービス市場」「労働市場」の3つに身を置いているという言いますが、いまの話は特に3点目の「労働市場」からの考察です。働き手の意識が変化すれば企業の意識も変わるということですね。また何度かこのブログでも取り上げているように、資本市場における社会的投資の流れは今後加速化するので、その視点からも企業のこの動きはより加速化するという仮説を持っています。
 
よって双方の公共意識が交わる意識・機運が醸成され、その機会も増える中で、ロビイング会社のような繋ぐプレイヤーもまた、増えると考えています。
 
回帰と呼んでいるのは、この10年ほどは特に、従来の公共が少なくとも働き手の目線から見た魅力を失っている傾向が続いていた為です。高度経済成長期において「官」主導で、民間と連携しながら引っ張った時代を経て、この10年は、特に若い方の働き口として進んで、公共を目指す傾向は落ち着きました。しかし上記の通り、従来の公共としてはまだその傾向は続いていますが、全体として見た時に「公共」に関わる/関わりたいプレイヤーの存在は間違いなく増えていて、それを「回帰」と捉えている次第です。
 
必要になる「提案力」と「実行力」
 この時に必要なことがあります。それは「提案力」「提案の受け止め力」「実行力」です。まず「公共」に関わりたいと考える民間企業/NPO側が、自社の利益ではなく、社会的な利益を念頭に置き、かつ、実効性の高い内容を、政治的/行政的背景を理解しながら提案できるか、という点が挙げられます。これは一定程度の知見と専門性が必要になる要素です。またそれを受ける公共側が、そういった恐らくは新しい提案をいかに受け止めるか、という点が2つ目に挙げられます。既存の制度や内容を変える内容をどう受け止めて、実現につなげるか。内容的に難しい場合にはそこをどうフィードバックして実現可能な内容にしていくか、そして実際に内部をいかに調整するか、という意味も含めて「受け止め力」が必要になるのです。最後は実行力です。これは提案と受け止めがマッチし、何らかの制度変更や予算化がされた後に、民間企業/NPO側が、それに沿って、成果を挙げられるのか、という点です。当初念頭において社会的課題を解決するために「政策化」がなされたとしても、民間企業/NPO側が実際に動かなければ、本当の意味で政策が実現したことになりません。よってそれらのプレイヤーが自社だけではなく、横でもつながりながら社会的成果を出すために実行しきることが重要です。
 
 これらが要素としてかみ合うことで「公共への回帰」の流れが単なるトレンドで終わることなく本物になっていきます。その意味でこの2020年前後におけるこの領域の変化は非常に重要な時期だということです。
 
p3は各プレイヤーの情報インフラを目指す
 その中で我々は公共領域における情報インフラを目指します。何度か触れているようにまずは政治家への情報支援から始めていますが、それは上記で言うところの「提案の受け止め力」および、政治家自身の「提案力」へ寄与するものです。また次の目線としては、提案する民間企業/NPOに対して共通の知見を提供することを目指しています。結果として、間接的には実行力のある受け皿の増加・育成に貢献もしていきたいと思っています。これも何度か触れていますが、知見の提供と人材仲介で力を発揮するコンサル的な組織が、現状の中心です。人間関係がモノを言うと言われるこの世界で、そういったプレイヤーがいなくなることは想定していませんが、事業的目線でいうと「コンサル的な機能の多くはSaaS+カスタマーサクセスの組み合わせに代替される」と捉えています。また社会的必要性を考え、より広く、幅広く、価値提供することが必要です。これらを考えた結果として、プロダクトという手段を通じて上記ミッションを果たすことを目指します。
 
この様にマクロトレンド、時代背景的にも、本領域には2~3年追い風が吹きます。それを結実させるためにも、プロダクトの提供を通じて役目を果たしたいと考えておりますので、昨日の内容に引き続きますが、ぜひパートタイムでの関わりをお待ちしております!