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技術と政治について書いていきます

未経験なプロダクト開発を進める指針

 わたしはプロダクト開発の経験がありません。よって、いまのプロセスは「人に話を聞く」「本を読む」「ウェブで調べる」「実際にやってみる」の4つを組み合わせて進めています。その中で「カスタマー」と「カスタマーが抱える課題」「本当に求めているもの」を見出す過程で、特に指針にした本と、そこから得た重要点を書き連ねます。
 
 狙いは、自分の考えの整理と共に、この指針に対して、プロダクト開発に加わっている/これから加わる方から、率直な意見を頂きたいためです。理由は先のとおり、経験が無いため、よりよりプロセスを取り入れ続けたいからです。
 
 早速書いていきます。(数字はkindle記載の抜粋箇所のNo.です)

1. ジョブ理論

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「正しく掘り出すには、ひとたび有望な鉱脈を見つけたあとも、周囲を観察し、 ジョブの文脈を理解する必要がある。顧客が生活に引き入れたいと望むプロダクト/サービスを目指すのなら、顧客が求めている進歩の機能面だけでなく、社会的・感情的な側面も深く掘り下げ、水平方向にも広く目を向けなければならない」
 
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「片づけるべきジョブを明らかにすることは、最初の一歩にすぎない。あなたが売るのはプログレス(進歩)であって、プロダクトではない。顧客が心から雇用したいと望み、しかも繰り返し雇用したくなる解決策を生むには、顧客の片づけるべきジョブの文脈を深く理解し、遂行を妨げる障害物も把握しなければならない」
 
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「解決策のディティールは、イノベーションを成功させるうえできわめて重要である。ジョブのディティールは、ジョブスペックとして把握する。これには、顧客が求める進歩を機能的、感情的、社会的側面から記述したものや、受け入れられるトレードオフ、打ち負かすべき競合相手や、克服すべき顧客の障害物などが含まれる。ジョブスペックは、ジョブの深い奥行きと複雑さを、実行可能なイノベーションの指針に変換する際の青写真となる。」

 まず前提としてプロダクトが解決するのは顧客が抱えるジョブだという点を、本書を通じて理解しました。そして顧客が欲しいのはプロダクトではなく、プログレスであり、心から雇用したい解決策を提供するためにも、社会的・感情的な側面も深く理解・体感する必要があるという点です。

 
 今回の開発全般のプロセスは「起業の科学」「ビジネス・クリエーション!」「図解 リーン・スタートアップ成長戦略」などを参考にしており、その中でも特に「起業の科学」に記載されている「カスタマープロブレムフィット」「ソリューションプロブレムフィット」の部分を意識的に行っていますが、それもあって本書に書かれている「ジョブ」という概念とその背景の掘り下げの必要性は常に留意して進めています。

2. Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方

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プロダクトマネージャーには、ターゲットとする市場の顧客と共鳴する能力が絶対に必要〜中略〜
何よりも、そのターゲット市場に対する敬意と共感があるか? それとも、ターゲット市場を「啓蒙」することが自分の仕事だと考えているか
 
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まず、顧客に製品を買う気を起こさせる感情にどんなものがあるのかを特定して、優先順位を付けてしまってから、その感情をじっくり考えてみて、その製品以外には他のどこでその欲求を満足させることができるかを自分自身に問いかけてみよう。それが、あなたの本当の競争相手である。多くの場合、気にかけなければならない競争相手というのは、同じことをやろうとしているベンチャー企業や大手のポータルサイトなどではなくて、むしろ、インターネットを使わない別のサービスであったりすることに気づくだろ
 
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製品のアイデアを見つけ出すことに集中する プロダクトマネージャーの第一の任務は、価値のある、使いやすい、実現可能な製品のアイデアを見つけ出すことである。そういうものを見つけ出したという確証が得られるまでは、開発を始めても意味がない

 

 ターゲットのカスタマーに敬意と共感が持てるかという点は、わたし自身大事にしたい点であり、実際にプロダクトを通じない形での価値提供を一定期間実施することを経て、敬意と共感を実際に持てることを実感できたことが大きかったことを、本書を読み後から理解しました。
 
 またジョブ理論でも触れた様に、カスタマーの感情面の掘り下げが大事だという点も繰り返し学びました。これをする上でも先ほど触れた敬意と共感は大事だな〜と思う所です。またこちらの本は、プロダクトマネージャーという仕事の理解を進める上で役立っています。業務上で体験したことはないのですが、本書を片手にプロダクト開発のプロセスを進める過程でおぼろげながら見えて来ているような気がしています。

3.「欲しい」の本質~人を動かす隠れた真理「インサイト」の見つけ方~

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その「無意識」にも3つのレベルがあります。まず、「自分自身が気づいていない」というもっとも深い層にある場合。心理学や精神分析の世界で用いられるような無意識のイメージです。 そして、「認めたくないので意識の外に追いやっている」という心理。自分がその感情や考えを認めたくないので、心の奥底に押し込めている場合、追いやっている矛盾や葛藤の中に、人を動かす有効なヒントが含まれている場合があります。 最後は、顕在化している意識に近いですが「感じていることを言葉にできない」場合。「なんとなく感じている」ものの、それが自分の言葉として言語化されていない。また、自分の思考の中で整合性がとれない、といったもの
 
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インサイトは、「顧客を動かす隠れた心理」です。ですから、消費者自身も気づいていない、隠れた状態になっています。  一方、ニーズは「本人が明確に認識できている欲求」で、顕在化しています。  インサイトは隠れていますから、競合他社も知りません。従って、その心理を充たすアイデアはまだ市場で具体化されていない状態
 
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ニーズは、高度成長の時代(日本であれば1980年代後半まで)の「だいたい、良くない時代」に役立っていた考え方です。一方、インサイトは、低成長の時代に役立つ考え方です(日本であれば1980年代後半以降)。

 これも繰り返し書いてきたカスタマー理解を深める上で参考にしています。無意識には段階があるということ、ニーズとインサイトには違いがあり、それが時代背景の中でなぜ重要になっているのかという点です。

 
 読んで理解した気になっているのと、出来ている状態には、天と地の差があるので、これらを持って会得しているとは全く思っていませんが、経験がないからこそ、徹底して「人に話を聞く」「本を読む」「ウェブで調べる」「実際にやってみる」の4つを組み合わせて進めていく敷かないと考えています。
 
このプロセス自体をより良くしていきたいので、プロダクト開発に加わっている/これから加わる方ともに、是非、宜しくお願いします!!