publicとpolicyとpowerと

技術と政治について書いていきます

Publicのプレゼンス

 今日もあるエンジニアの方と、事業構想について簡単に説明をし、今後の社会のあり方について議論をしました。その方に言われたのは「社会における政治のプレゼンスは今後どうなるのか」という点です。この点は非常に重要で、なぜこの領域なのか、を説明する上で外せない視点なので改めて書きます。

 

 まず政治のプレゼンスは次の20年で落ちます。政治が動かせるお金は税収減に伴い縮小すると言う点、そして、お金が社会に与える影響自体も減るからです。そして法律は社会変化のスピードが早まるに従いその影響度は低くなります。結果、お金(予算)や法律を決めることができ、それらを通じて社会に影響を与える政治家の物理的な力は縮小するということです。

 またメッセージ機能としての政治の影響力もまた低下します。過去であれば所得倍増計画を打ち出した池田勇人首相の時代がありましたが、これからは国主導で1つの方向性に進んでいくということは考えづらいです。それは過去に触れたように権力が分散化し、政治やメディアの力といった観念的な力が縮小するためです。社会を前に進めるのが、多様化した個人のモチベーションになるということです。

 

 そんな中で、政治領域が担うもの/重要性と、そこに関わることの意義はどこにあるのか。それは政治にしか出来ない意思決定が次の10年にやってくること、漸進的に社会を前に進め続けることが同時多発的に必要なこと、更には社会変化が加速化する中でイノベーションを阻害しないことが求められる、これらが理由で、そこに政治が担う役割があります。

 

 20年単位ではプレゼンスが下がると書きましたが、その内この10年が持つ意味合いは大きいです。20年後の政治のあり方は読めず今と大きく変わっていることは間違いないですが、この10年で見ると緩やかなプレゼンスの低下はあれど、政治が決める予算・方向性が与える影響はまだまだ大きいです。その中でこれまで後回しにしてきた短期的には痛みを伴う未来への投資としての意思決定が必要になります。縮小するパイの中で、本当に必要な再分配を実現する必要もまたあります。それは政治にしか出来ないことです。

 

 そして、より分権が進む中でこの10年で各地で漸進的に社会を前に進めるための政治もまた必要です。これは上記と同様に、次の10年でも引き続き扱うお金が減りながらもまだまだ量としては存在し、それを活用して政治がイノベーションは起こせなくとも、少しずつでも意味ある政策を実現し、人口減少と高齢化の中、目の前に起こる社会課題に向かい続けることが重要なためです。

 

 更に次の10年で技術革新は加速化します。その際に法律や公共がその変化に追いつかないことは容易に想像がつきますが、その際に民間の動きであるイノベーションを阻害しないことが重要です。その緩和を適切に行うこともまた政治にしか出来ないことです。

 

 これらが次の10年政治が果たす役割であり関わる意義だと考えていますが、わたしの中での一番の理由は、政治領域の課題と可能性を知ってしまったから、という点があげられます。

  今日の方も、社会のあり方に関心と課題感を持ち、実際に行動を起こしている素晴らしい方でしたが、それでも政治にはどちらかというと無関心だと言っていました。それは接点が少ないということもあると思いますが、変わる実感が無いことも原因です。

 いまはほとんどの方にとって政治に参加しようと思えば、一票を投票という形で意思表示として示すだけです。それは重要な関わり方ですが、政治へのアクセスは意図すればそれほど難しいことではなく、また、アプローチ・内容が合理的であればアクセスを通じて影響を与えることが可能でそれは知られていないことが多いです。その結果が社会に与える影響の大きさを知れば、その可能性に魅力を感じます。また課題というのも世間一般で言われる課題というよりは、過去に書いているように、目の前にいる魅力的な対象が多くの非効率を抱えているという課題です。

 

 そんな中、多くの方々が何らかの課題感や一納言持っていながら、諦めと他責があるのもまたこの領域です。

 わたしは何らかの対象に可能性と関わる意義を感じている中で、誰もそこに本気になっていない時にやる気が高まる人間ということもありまして笑、こういった個人の特性も相まって、この領域を次の10年のテーマにすることを決めました。

 

 よって今日を総括すると、政治が果たす役割は長い目線で見ると変化・その役割も緩やかに小さくなるが、少なくとも次の10年においては重要、というのが政治・Publicのプレゼンスである、ということです。

 

 少しでも興味を持った方は是非お話しましょう!